身体を直立させ、身をわずかに慎ませる。両腕は、自然に下垂させ、頭を正す。項、即
ち首筋を真っ直ぐに立て、下顎を引き、口を軽く閉じ、舌尖で上顎を支える。全身を放鬆 (リラックス)させ、両眼は水平に直視し、両足の踵を合わせ、両足尖を外側に開いて約 90度とする。
両足は動かさず、両掌を顔前に挙げ、左右に分けて弧形を描き、掌心を上に向
け、両脇の横にかかえる。この時、目は前方を見る。
図,1 図,2 図,3
右足は動かさず、左足を前に一歩すすめ、両掌を前方に向かって水平に穿出(素早く
出すこと)し、掌心を上にむける。続いて右足を前に一歩進めて左足の横に落置さ せ、両足の距離を肩幅と同じくし、足尖を前にむける。同時に両手で、前方から左右両 側に、続いて上に向かって、弧を描きつつ、臍上において落置させる。この時、目は前 方を見ること。
呼吸要点・・・・前式の太極式時の呼吸は吸気となり、本式、両儀式のとき、両掌を前に
向かって穿出し、左足を進める動作は呼気となる。また、続いて右足進歩時は吸気とな り、掌を臍に向けて落とし、右足を左足の横に落置するときは呼気となる。
身体を左に転ずるのと同時に、右掌の掌心を下に向け、右手を前方から左方へ、弧形
を描いて伸ばし、手掌の高さを、肩の高さとする。このとき、右足尖は次第に内側にひね り、左足尖を外側に開き、重心を右胯に落とす。
右掌を引き付け臍前に至らせる。左掌は、右掌が臍前に至るのと同時に、右掌の上か
ら撃出させ、左足を邁歩で一歩進める。
右掌を臍前に引き付け、左掌で前方を支え、右腿の重心を七、左腿の重心を三とし、
左三才式となる。このとき左掌の高さは、口の高さと水平をなし、目は、左掌の上方を見 る。
呼吸要点・・・・この式において右手を伸ばした時、呼吸は呼気となり、左掌を用いて打
撃する時もまた呼気となる。右掌伸出時の高さは、敵の太陽穴の高さと同じく一線を成 し、左掌撃出時においては、その腕を湾曲させ、掌で押しつぶすよう下方に向かってに 打つ。
三体式より、左足を左斜前に一歩進め、左掌で前方を押さえつつ、右足をよせる。こ
のとき右手は右腰につけ、目は左掌を見る。
右足を左足の横に付け並歩となる。続いて右掌を左斜下に素早く穿出し、左掌を右腕
の内側につける。このとき目は右掌を見る。
前動作に続いて、右肘を軸として曲げ、右掌を上挙し、更に左、左から右へと弧を描く
。
右足を右斜前に一歩進め、右掌で前方を押さえつつ、左足をよせる。このとき左手は
左腰につけ、目は右掌を見る。
左足を右足の横に付け並歩となる。続いて左掌を右斜下に素早く穿出し、右掌を左腕
の内側につける。このとき目は左掌を見る。
前動作に続いて、左肘を軸として曲げ、左掌を上挙し、更に右、右から左へと弧を描く
。
左足を左斜前に一歩進め、左掌で前方を押さえつつ、右足をよせる。このとき
左手は左腰につけ、目は右掌を見る。
左足を右足の横に付け並歩となる。続いて左掌を右斜下に素早く穿出し、右掌を左腕
の内側につける。このとき目は左掌を見る。
呼吸要点・・・・食米時、図,10・13・17の呼吸は呼気となり、図9・11・12・14・15・16の時
は吸気となる。
右足を一歩大きく退き、右腕をわずかに上げる。続いて右掌を後方に、左掌は
前方に張り、前後を受ける。このとき重心は右腿に置き、目は前方を水平に見る 。
呼吸要点・・・・図,18時、呼吸は呼気となり、図,19時は吸気となる。
左掌を下に降ろし、左腿の付け根に引き付ける。このとき右掌を同時に下垂させ、続
いて左掌心を上に向け、前方に穿出し、左足尖を外に開いて塾歩としてわずかに進め、 身体をこれに従える。右足は身体が進むのに従って、左足の横に付け、右掌を拳となし 胸前に引き付ける。このとき目は前方を見る。
右足を、勢に順って、邁歩で大きく一歩進め、右足が着地するのと同時に、右拳を胸
から口、口から前下へと下劈させる。このとき、拳の高さは、右膝の位置と同じくし、目は 右拳の上を見、左掌を胸前に引き付ける。
左足を跟歩とし、右足が進むのに従って、右足の左後方に引き付ける。
呼吸要点・・・・図,20と図,21とは、連続した動作であり、内気を漏らさないようにするこ
と。呼吸は、図,20については吸気であり、図,21の下劈時には呼気となる。
右掌を下に降ろし、右腿の付け根に引き付ける。このとき左掌を同時に下垂させ、続
いて右掌心を上に向け、前方に穿出し、右足尖を外に開いて塾歩としてわずかに進め 、身体をこれに従える。左足は身体が進むのに従って、右足の横に付け、左掌を 拳となし胸前に引き付ける。このとき目は前方を見る。
左足を、勢に順って、邁歩で大きく一歩進め、左足が着地するのと同時に、左拳を胸
から口、口から前下へと下劈させる。このとき、掌の高さは、左膝の位置と同じくし、目は 左掌の上を見、右掌を胸前に引き付ける。
右足を跟歩とし、左足が進むのに従って、左足の右後方に引き付ける。
呼吸要点・・・・図,22〜図,24は、連続した動作であり、内気を漏らさないようにするこ
と。呼吸は、図,22・23については吸気であり、図,24の下劈時には呼気となる。
劈拳より、左右両拳を掌となし、両掌で下方をはらいつつ、跳躍して身体の左
右を入れ換え転身する。
続いて続いて右掌で前方を下劈し、左掌はこれに従う。このとき架式は四六式となり、
目は右掌を見る。
呼吸要点・・・・図,25〜図,27は、連続した動作である。呼吸は、図,25・26については吸
気であるが、図,27の跳躍して着地する下劈時には呼気となり、一気に勁を発する。
左足を動かさず、右足を左足によせる。右掌を変じて拳となし、臍前にて抱える
。
続いて右足を半歩進めて、左足は跟歩で右足に従う。右拳を上鑚して口の高さとし、
左掌はこれに従い拳として臍前を受ける。このとき目は右拳を見る。
呼吸要点・・・・図,28と図,29は連続した動作であり、図,28時の呼吸は吸気となる。この
動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,29の右 拳鑽(攅)出時の呼吸は呼気であり、これは発気の過程である。
右足尖を塾歩とし、外側に向かって斜45度に開き、続いて左足を前方に大きく
一歩進め、右足を跟歩でこれに従える。このとき右拳は下圧して臍前を受け、同時に左 拳で前方を上鑚する。
呼吸要点・・・・図,30と図,31は、連続した動作であり、図,30時の呼吸は吸気となる。こ
の動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,31の 右拳鑽(攅)出時の呼吸は呼気であり、これを発気の過程となす。
左足を扣となし、左足尖を内側に向け、身体を右に転身させる。左拳は転身と同時に
下降させ、左腕を後方に張り、右肘で右前方を突き上げる。このとき目は右拳を見る 。
呼吸要点・・・・図,32の呼吸は吸気となる。
左右両拳を変じて掌となし、右掌で前方を劈打し、左掌で顔前を受ける。このとき左足
を大きく一歩進め、重心を左足に落とす。右足は脚背を左小腿につけ、目は前方を水平 に見る。
右足を大きく一歩踏出し、右掌で前方を挑ね上げ、左掌で下方を受ける。このとき目
は右掌を見る。
呼吸要点・・・・図,33の劈打、図,34の挑掌の呼吸は、ともに呼気となる。
右掌を下に降ろし、右腿の付け根に引き付ける。このとき左掌を同時に下垂させ、続
いて右掌心を上に向け、前方に穿出し、右足尖を外に開いて塾歩としてわずかに進め、 身体をこれに従える。左足は身体が進むのに従って、右足の横に付け、左掌を拳となし 胸前に引き付ける。このとき目は前方を見る。
左足を、勢に順って、邁歩で大きく一歩進め、左足が着地するのと同時に、左拳を胸
から口、口から前下へと下劈させる。このとき、掌の高さは、左膝の位置と同じくし、目は 左掌の上を見、右掌を胸前に引き付ける。
右足を跟歩とし、左足が進むのに従って、左足の右後方に引き付ける。
呼吸要点・・・・図,35・36は、連続した動作であり、内気を漏らさないようにすること。呼
吸は、図,35については吸気であり、図,36の下劈時には呼気となる。
左掌を下に降ろし、左腿の付け根に引き付ける。このとき右掌を同時に下垂させ、続
いて左掌心を上に向け、前方に穿出し、左足尖を外に開いて塾歩としてわずかに進め、 身体をこれに従える。右足は身体が進むのに従って、左足の横に付け、右掌を拳となし 胸前に引き付ける。このとき目は前方を見る。
右足を、勢に順って、邁歩で大きく一歩進め、右足が着地するのと同時に、右拳を胸
から口、口から前下へと下劈させる。このとき、拳の高さは、右膝の位置と同じくし、目は 右拳の上を見、左掌を胸前に引き付ける。
左足を跟歩とし、右足が進むのに従って、右足の左後方に引き付ける。
呼吸要点・・・・図,37と図,38とは、連続した動作であり、内気を漏らさないようにするこ
と。呼吸は、図,37については吸気であり、図,38の下劈時には呼気となる。
劈拳より、左右両拳を掌となし、両掌で下方をはらいつつ、跳躍して身体の左
右を入れ換え転身する。
続いて続いて左掌で前方を下劈し、右掌はこれに従う。このとき架式は四六式となり、
目は左掌を見る。
呼吸要点・・・・図,39〜図,41は、連続した動作である。呼吸は、図,39・40については吸
気であるが、図,41の跳躍して着地する下劈時には呼気となり、一気に勁を発する。
右足を動かさず、左足を右足によせる。左掌を変じて拳となし、臍前にて抱え、
続いて左足を半歩進めて、右足は跟歩で左足に従う。左拳を上鑚して口の高さとし、右 掌はこれに従い拳として臍前を受ける。このとき目は左拳を見る。
呼吸要点・・・・図,42と図,43は連続した動作であり、図,42時の呼吸は吸気となる。この
動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,43の右 拳鑽(攅)出時の呼吸は呼気であり、これは発気の過程である。
右足尖を塾歩とし、外側に向かって斜45度に開き、続いて 左足を前方に大きく
一歩進め、右足を跟歩でこれに従える。このとき右拳は下圧して臍前を受け、同時に左 拳で前方を上鑚する。
呼吸要点・・・・図,44と図,45は、連続した動作であり、図,44時の呼吸は吸気となる。こ
の動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,45の 右拳鑽(攅)出時の呼吸は呼気であり、これを発気の過程となす。
右足を扣となし、右足尖を内側に向け、身体を左に転身 させる。右拳は転身と同時に
下降させ、右腕を後方に張り、左肘で左前方を突き上げる。このとき目は左拳を見る 。
呼吸要点・・・・図,46の呼吸は吸気となる。
左右両拳を変じて掌となし、左掌で前方を劈打し、右掌で顔前を受ける。このとき右足
を大きく一歩進め、重心を右足に落とす。左足は脚背を右小腿につけ、目は前方を水平 に見る。
左足を大きく一歩踏出し、左掌で前方を挑ね上げ、右掌で下方をはらう。このとき目は
左掌を見る。
呼吸要点・・・・図,47の劈打、図,48の挑掌の呼吸は、ともに呼気となる。
左足尖を外に向かって開き、重心を左足に置く。左右両掌を変じて拳となし、左拳を腹
前に引きつけ上鑚し、拳の高さを口の高さとし、右拳を右腰につける。このとき右拳の拳 心は下に向け、目は左拳を見る。
呼吸要点・・・・図,49時、左拳を腹前に引きつける動作の呼吸は吸気であり、上鑚する
動作は呼気である。これらの動作は連続した動作であり、この動作の間、気は漏れては ならず、腎を押し上げ(蓄気)、その後発気する。
左足はそのまま動かさず右足を引きつける。左拳を引き右拳を腹前にとる。このとき
目は前方を水平に見る。
右足を一歩進めて重心を右足に置く。右拳を腹前から上鑚して、拳の高さを口の高さ
とし、左拳を左腰につける。このとき目は右拳を見る。
呼吸要点・・・・図,50と図,51は、連続した動作であり、図,50時の呼吸は吸気となる。こ
の動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,51の 右拳上鑽時の呼吸は呼気であり、これを発気の過程となす。
右足を扣となし、右足尖を内側に向け、身体を左に転身させる。右拳は転身と同時に
下降させ、右腕を後方に張り、左肘で左前方を突き上げる。このとき目は左拳を見る 。
呼吸要点・・・・図,52の呼吸は吸気となる。
左足を半歩進めて重心を置く。左拳を腹前に引きつけ上鑚し、拳の高さを口の高さと
そろえ、右拳はそのまま、右腕を後方に張る。目は左拳を見る。
呼吸要点・・・・図,53時、左拳を腹前に引きつける動作の呼吸は吸気であり、上鑚する
動作は呼気である。これらの動作は連続した動作であり、この動作の間、気は漏れては ならず、腎を押し上げ(蓄気)、その後発気する。
左足はそのまま動かさず右足を引きつける。左拳を引き右拳を腹前にとる。このとき
目は前方を水平に見る。
右足を一歩進めて重心を右足に置く。右拳を腹前から上鑚して、拳の高さを口の高さ
とし、左拳を左腰につける。このとき目は右拳を見る。
呼吸要点・・・・図,54と図,55は、連続した動作であり、図,54時の呼吸は吸気となる。こ
の動作の間、気は漏れてはならず、これを腎を押し上げる蓄気の過程となす。図,55の 右拳上鑽時の呼吸は呼気であり、これを発気の過程となす。
右足を扣となし、右足尖を内側に向け、身体を左に転身させる。右拳は転身と同時に
下降させ、右腕を後方に張り、左肘で左前方を突き上げる。このとき目は左拳を見る 。
呼吸要点・・・・図,56の呼吸は吸気となる。
左足尖を半歩進めて重心を置く。左拳を腹前に引きつけ上鑚し、拳の高さを口の高さ
とそろえる。右拳は左肘の下に置き拳心を上に向ける。このとき目は左拳を見る 。
呼吸要点・・・・図,57時、左拳を腹前に引きつける動作の呼吸は吸気であり、上鑚する
動作は呼気である。これらの動作は連続した動作であり、この動作の間、気は漏れては ならず、腎を押し上げ(蓄気)、その後発気する。
両拳を変じて掌となし、左三才式となる。重心の比率は、前三、後七となし、目は左掌
を見る。
呼吸要点・・・・図,58の呼吸は呼気となる。
左三才式より、身体を45度右に向かって転じ、左足尖を内側にひねり(扣)、両
掌を引いて両脇の横に置き、掌心を上に向ける。右足を後方に一歩退き、両掌心を上 に向け、両手で外から内に弧を描き、臍前、真下へと至らせる。
掌が臍前に至るに従って、左足は右足の横に置き、足幅を肩幅と同じ幅とし、目は水
平に前方を見る。続いて左足の踵を右足の踵に向けて着け、両足尖を外に開いて90度 とし、両拳を同時に身体の横に落とし収式を終える。
呼吸要点・・・・図,58から図,61は、掌心を上に向け弧を描き、両掌の高さが肩と同じに
なるまで、そして両掌を下に落として臍前に至るまでは呼気となり、図,62については、自 然呼吸となる。
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