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           翻訳作業を開始するにあたって、辞書は、まさに命綱である。翻訳作業の良否は、翻 訳者の使う辞書が鍵を握っているのである。 
           筆者が翻訳を始めた頃、まだ入門者だからといって、表記の簡単な辞書を購入し、翻 訳資料に立ち向かったところ、全く歯が立たず、返り討ちにされてしまった。 
           現在筆者は、小学館の「中日辞典」を使っている。この辞書は、恐らく本格的に中国語 を学んでいる方なら、知っておられる方も多いのではないかと思われるが、なかなかの 優れものである。今ではこの辞書は、筆者の翻訳の友として、欠かすことのできない存 在となっている。 
           さて、筆者の翻訳作業では、この小学館「中日辞典」を用いているが、当會々員の東 京大学大学院の専門の研究生情報によると(ハンドルネーム:*メキシ漢氏)、最近で は、この辞書よりも評価の高い「中日大辞典」という辞書が大修館書店から出版されて いるそうである。 
           専門の研究者のお薦めであるので、興味のある方は出版社に訊ねられては如何だろ うか。 
           翻訳作業の約七割方は、これらの辞書を用いることによって対応することができるが、 残りの三割は、これらの辞書の中に表記がなく、翻訳しにくいものである。 
           この三割をどう克服すればよいのかがポイントであるが、筆者の場合、研究資料の中 に用いられている文字が、辞書に無いときには、元亨會の練習会場近くの、日比谷図書 館で、もっと詳しい辞書を用いて調べるか、前述のメキシ漢氏にお願いして、メキシ漢氏 秘蔵の「大漢和」で調べてもらっている。メキシ漢氏の話によると、大漢和の中には、例 えば資料のなかのキーワードを調べたとすると、そのワードの出典が何なのかまで分か るそうである。 
           翻訳に挑戦してみようと試みる方には、ぜひともそろえておきたいものであるが、しか し、筆者も持っていない(笑)。 
           *メキシ漢氏・・・・当會々員。東京大学大学院の専門の研究生。氏の専門は、単刀 「李」こと李存義が活躍した清末であり、氏は、論文執筆の傍らに、拳譜資料の翻訳をて がけられていた。氏は当會の掲示板にて翻訳の一部を投稿してくれているので、氏の翻 訳を読まれた方も多いのではないだろうか。 
           筆者は、当サイトにおいて「メキシ漢の部屋」というコーナーを企画しているが、実現の 可能性は「?」。 
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