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           李先生。名は存義、字を忠元、河北省直隷、深県の人。 
           財を軽んじ義を重んじ、性は拳術を好み、幼年より長・短の拳を学ぶ。後に劉奇蘭先 生の門を拝し、形意拳術を学んで習練すること数十年。 
           保票(←金偏)を生業となし、各省を往来す。途中盗賊に遭いて、手に単刀を持ち、敵 に対す。賊、敢えて進まず。或いは先生の名を聞く。義気人を過ぎ、道を避ける者あり。 
           故に、人以ってこれを単刀李と称す。 
           民国元年(1912年)、天津に在りて武士会を創立し、門徒に教授す。人を導きて僊むこ と無し。七十余歳で終わった。 
           翻訳工房番外編は、「拳譜翻訳での苦労話、またそのポイントがあれば知りたい」とい う、訪問者の方々のご要望にお応えして、私見ではあるが、現在連載中の八卦掌六十 四路散手に加えて、「翻訳作業の舞台裏」を掲載する。 
           筆者の翻訳という試みは、多くの研究者にとって、漢字の羅列である暗号にすぎない 伝書を、時を超え、現代に甦らせようとするものであり、筆者は、この試みに賛同して、 原書に挑む研究者の奮起を期待する。 
           現在、筆者は、趙玉祥老師の拳譜を翻訳・編纂する傍らで、当サイトにて公開中の「八 卦掌六十四路散手(翻訳終了)」の他に、上記李存義先師が著された「岳氏意拳五行精 義」の翻訳を手掛けている。 
           これより以下、武術書翻訳の方法を、僅かではあるが、「翻訳作業の舞台裏」と題して 掲載する。 
   
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